生物育成学習支援ステーション(SUNS)へようこそ!
- Support Station for Nurturing Living Things Study -
キーワードを入れて、検索してください。(例: イネ,容器栽培,学習指導要領,長崎)
*作物名はカタカナで
よくある質問と回答
ダイズ(枝豆)・トウモロコシ(スイートコーン)の発芽不良について
ダイズやトウモロコシは、播種深土にとても敏感です。地表面から3㎝を厳守すれば大幅に改善すると思います。また、直播する場合でも、念のため苗を作っておくと心強いです。
トウモロコシが倒伏してしまった。
土寄せやトッピングを行うことで対策になります。
トッピングとは、花粉を出し終えた後の雄穂を切り取って、植物体の重心を下げ、また風を受けづらくすることです。
この処置は,アワノメイガというトウモロコシの大敵の害虫を駆除するためにも有効です。(アワノメイガの成虫はトウモロコシの雄花に卵を産み付け、雄花から下に食い進むことが多いためです。)
もちろん、風の強さ次第では完全に防ぐことは難しいかもしれません。
また,トウモロコシは成長すると「冠根」という茎を支え踏ん張るための太い根が生えてきます。冠根は植える密度が高いと発達しないことが多いので,適切な株間で栽培を行うことも倒伏させない上で重要です。
トウモロコシが夏休み中にカラスにたべられてしまう。
栽培している畑一面に,ネットを張り巡らすのが最も有効です。
それが難しい場合は,畝の両サイドにトウモロコシの丈を上回る長さの支柱を対面するように立て(1m間隔くらい),それぞれにテグスを張ります。
テグスはできれば黒色が良いです。(透明なテグスはすでにカラスは学習されてしまっていることが多いです。)
カラスは,自分の羽が何かに触れることをとても嫌います。黒いテグスはカラスには見えにくいので見破られにくく,張られている場所を警戒して良いつかなくなります。この方法は,トマトにも効果大です。お試し下さい。
ニンジンの発芽不良について
ニンジンの種子は,小さく薄っぺらで、水分吸収が進みにくく乾燥しやすいため,発芽が揃わないことがよく起こります。
できるだけ,浅いところに播いて覆土は薄めにし、初期はかなりこまめに(できれば毎日)水やりをする必要があります。
また,種まきから出芽まで10日以上かかることが多いです。播きやすさと発芽を揃えるために,種子の表面をコーティングしたペレット種子(コート種子)も開発されています。
ジャガイモの塊茎が緑色になってしまったが,大丈夫?
イモ(塊茎)の緑化という現象で、光にあたると野生動物に食べられないよう、ソラニン、チャコニンというアルカロイドを蓄えます。
緑色になってしまったイモは,食中毒(吐き気や下痢、おう吐、腹痛、頭痛、めまいなどの症状)を起こす危険性があるので、注意が必要です。
緑色にさせない対策としては土寄せを行うこと、収穫後は暗所に保管することが大切です。また、種皮の色が濃い品種を使用すると、緑化を判別できない可能性がありますのでご注意ください。
ジャガイモの種イモを半分に切って(芽がどちらにもあるようにして)植えても特に問題はないか?
特に問題はありません。
種イモのサイズが大きいようであれば、半分に切って植えても1個体あたりの収穫にほとんど差がありませんので、種イモ代の節約になります。
種イモの重さが40g以上あれば生育に概ね問題ないとされていますので、余裕をみて100gを超えているような種イモがあれば切断をすることをお勧めします。
もちろん、種イモ切りもひと手間ですので、種イモの個数が十分でない場合の選択肢としてご利用ください。
また,切断面は腐敗を防ぐために,よく乾かして植えた方が良いです。その際には、切断面に草木灰をまぶすこともよく行われています。
ジャガイモで疫病が生じ、塊茎の回収が大変だったので土壌に漉き込んでしまった。翌年、別の作物を植えたところ不作だったが、関係しているだろうか。
ジャガイモの疫病菌は土壌中に眠ることになりますので、しばらくジャガイモを植え付けないほうがよいです。また,この疫病菌はナス科作物にも影響を与える場合があるので,ナス科作物の後作には注意する必要があります。
種子が発芽するころ、鳥に食べられてしまった。
カラスによる被害が最も深刻です。カラスが多い地域でダイズ,ラッカセイなど,マメ科の作物の種まきには特に注意が必要です。
種子を播いた後には,防鳥ネットをかけたり,不織布をべたがけするなどして対策を行うことが重要です。テグスを播いた箇所の真上30cmくらいの高さに張っておくのも効果的です。
カボチャの地上部が繁茂して、他の学級の畑まで広がってしまう。
つる性の作物は,緑のカーテンのようにツルを縦に伸ばすことができますので,ある意味無限に広がってしまいます。
そのため,広がり始めたら,摘心して(先端を切り落とす)おくことが重要です(整枝)。
摘心は,わき芽(子づる,孫づる)を伸ばすためにも有効です。ウリ科の作物は,子づる,孫づるの方に雌花が多く性質をもつものも多いので,計画的によく行われています。
また、最近「ほっとけ栗たん」という、節間が短い品種が開発されました。整枝の必要もなく、従来のカボチャほどは繁茂しすぎないそうです。試してみてはどうでしょうか?
野生動物の被害が出て困っています。
イノシシ,アナグマ,タヌキ,キツネ,アライグマなどの野生動物は力も強く,ネットだけでは防ぐことが難しい場合が多いです。
棲息している環境下で栽培を行う必要がある場合は,電気柵が有効です。(規模にもよりますが)一基3〜5万円程度ですが,栽培地全体を囲むことで被害をなくすことができます。
いろいろなメーカーのものがあり,大きめのホームセンターで購入することができます。
例えば:(株)末松電子製作所
キュウリの収穫のタイミングについて
キュウリは元々,未熟な果実を収穫して食べる野菜ですので,完熟に向かってどんどん大きくなろうとします。
着果し果実が成長するスピードはとても速いので,一日一日が勝負です。スーパーで売られているサイズになったら,すぐに収穫しましょう。収穫すると次の果実がまた成長してきます。
ちなみに,そのまま果実が成長すると50cm程度になり,黄色に完熟します。
こちらの動画内で詳しく説明していますのでご確認ください。【そだててみよう(やってみよう)動画 キュウリの一本仕立て(収穫と子づるの管理)】
水をやりすぎてしまう。
種まきや苗の定植の後のしばらくは、植物にしてあげられることが草取りと水やりだけになることも多く,世話をしてあげたいという気持ちで水やりが過剰になってしまうことがあるのではと思います。
「根っこも呼吸をしてるから水だらけになっちゃうと息が苦しくなっちゃうんだ」というような指導をしてみてはいかがでしょうか。
ただし、畑での栽培と,プランターなどをつかった容器栽培で対応は変わります。
畑の場合,目安としては晴れた日に1㎡あたり3リットル程度、曇りの日には1㎡あたり1リットル程度が畑から失われると想定すると、やりすぎを防げるかもしれません。
また、生育に伴い根は伸長して地下から水を吸えるようになりますので、ある程度大きくなったら「表面が乾いているな」という時以外は水やりをしなくていいと思います。
一方、容器栽培では容器にためて置ける水の量に限界があります。
水はけのよい土を使っている場合は下部から速やかに排水を行えるため、湿害が極めて起こりづらいことから、水のやりすぎを警戒する必要はないと思います。
容器栽培で水をやりすぎると,土の中の肥料が外へ溶け出てしまうことも多いですので,追肥が多く必要になることもあります。
学校で,水をこまめにやり過ぎて,肥料不足になっているプランターをよく見かけます。
畑の水はけをよくしたい。
有機物を積極的に入れて土の構造の団粒化を目指すことが重要です。植え付けを急ぐのであれば,もみ殻を相当量入れて混ぜ込んだり,高めの畝の上で育てたりすることが有効です。
また,雨の後に水がたまらないように,水の抜け道(水路)を掘って,畑の外に水を出す工夫が大切です。
もし,時間があり,オフシーズンに畑を休めることができるのであれば,雑草をつかった土づくりをおすすめします。
雑草を集めて枯れ草にしておき,畝を高めに盛った上に草を重ね(7kg/m2程度),その上に草が隠れる程度に軽く土を載せます。
その上から夏場は白色マルチ,それ以外は黒マルチで表面を覆って雨を防ぎます。
そのまま5ヶ月以上放置すると自然に糸状菌が中心となって草を分解し,団粒構造の土ができます。この方法は現在さらに研究をすすめているところですので,このシステムでもしっかり報告したいと考えています。
日当たりが悪い畑で育てられる作物を知りたい。
日当たりは重要な条件ですが,作物よってその反応が異なることが知られています。以下,参考までに示します。
●日当たりのよい場所を好む作物
トマト、ナス、ピーマン、キュウリ、スイカ、メロン、カボチャ、トウモロコシ、タマネギ、ダイコン、ニンジン、カブ、ハクサイ、キャベツ、マメ類、ブロッコリー、カリフラワー、イネ,ムギ類
●日当たりが悪くても耐えられる作物
ホウレンソウ、ネギ、ニラ、シュンギク、レタス、サラダナ、コマツナ、ジャガイモ、サトイモ、サツマイモ,パセリ、セルリー
●日当たりの弱いところを好む
ミツバ、セリ、フキ
スイカの収穫時期について (収穫し,切ってみたら真っ白だった)
収穫時期が早い場合にそうなります。スイカに限らず、収穫時期の目安を調べておきましょう。
スイカの場合、巻きヅルが枯れてきたころが目安です。受粉して着果したときに,その日付を書いたラベルを付けておくと良いです。
また,収穫適期に外敵に先を越されることも多いです。カラス等に注意しましょう。テグスを張り巡らすのも良いですが,スイカの場合は,実の上にカゴやザルをかぶせておくのが,一番効果的です。
スイカが成長しなかった。受粉が上手くいかなかったのか?
ウリ科作物のスイカ、メロン、カボチャ,ズッキーニなど雌雄異花のものは、放っておいても昆虫のおかげで受粉することもありますが、念のため人工授粉を行うことがおすすめします。
朝9時ごろに花粉を出している雄花を探して摘み、雄しべを雌しべの頭にこすりつけます。
サツマイモの葉が茂っていたが、イモが収穫できなかった。
サツマイモ栽培特有の「つるぼけ」という現象です。
土壌中の窒素分が多いとき、茎葉ばかりに栄養が回ってしまい、収穫器官が太ってくれないという現象です。
他の作物よりもかなり窒素量を落として施肥をする必要があります。栽培には,有機質のたい肥などを加えてミネラルは補給しつつ,「根肥」と呼ばれるカリウム肥料を積極的に与えて栽培するとよいです。
レタスの栽培で、葉がまいてきたころにより大きくなるのを待っていたら高く上に伸びてしまって収穫できなかった。
おそらく,トウ立ち(花芽形成)をしてしまったのだと思います。
レタスは典型的な長日作物なので,日が長くなる(正確には,暗期が短くなる)と花芽を分化し始めます。これをトウ立ちといいます。
トウ立ちをし始めると,結球(葉が巻き,丸くなる)は止まり,その後,新しい葉は小さくなり,節間が伸びて急激に縦に伸長し,最終的に花が咲きます。
冬至をすぎで日が長くなりだすと反応が起こりはじめますので,収穫は早めに行う必要があります。
ちなみに,レタスはキク科なので,最終的には地味ですが,薄黄色の小さい可憐な花が咲きます。実際に栽培をしていないと見られない貴重な花です。
プランター栽培のキュウリがなかなか大きくならず、トマトは酸っぱくなってしまった。どうしたらいいですか?
プランター栽培の難しさは,水管理と肥料の施し方です。それは,水を蓄えられる量が容器の中の土の量に依存するからです。
まず,野菜の栽培にはできるだけ大きな容器を使います。花用の浅めのプランターは適しません。
また,キュウリは多めの水が必要になりますが,やり過ぎると土の中の肥料分が流れ出し,肥料不足になります。
市販のプランター用の土は,排水性が優れるように配合されていますので,こまめに水をあげる必要がありますが,一方で追肥も十分に行う必要があります。
一方,トマトはキュウリに比較して,水は少なくてもかまいませんが,日当たりが必要です。
酸っぱい原因は果実の成長の仕方にあると予想されますが,もし,果実が葉の陰になっていたら,しっかり日が当たるように葉を取り除くなどの作業も必要になります。
また,水が多いことで,水分で果実が太ってしまい,光合成産物(糖分)の濃度が少なく,それが酸っぱく感じる原因になっているかもしれません。水を少し控えめにすることが味の濃いトマトを作る秘訣です。
タマネギの苗の定植時に,倒れたり,カラスに引き抜かれたりしてなかなか活着がうまくいかず,大きく成長しない。
タマネギの苗は,定植時に,倒れたり,カラスに引き抜かれたりすることがあります。倒れていても自分で起き上がって成長できることが多いですが,カラスに抜かれたり,倒されると後々の成長に大きく影響してしまいます。
苗の定植の後は,畝の両サイドに支柱を立て(対面で3箇所くらい)それぞれにテグスを張っておきます。テグスはできれば黒色が良いです。(透明なテグスはすでにカラスは学習されてしまっていることが多いです。)
カラスは,自分の羽が何かに触れることをとても嫌います。黒いテグスはカラスには見えにくいので見破られにくく,張られている場所を警戒して良いつかなくなります。
この方法は,トウモロコシやトマトにも効果大です。お試し下さい。
また,タマネギの栽培では追肥のタイミングが重要です。遅れるとうまく肥大しません。地域(収穫時期)によってタイミングも変わりますので,よく調べて確実に行って下さい。
最近は,ゆっくり溶けて長く効き,元肥だけて良い肥料(一発型)がよく使われています。ホームセンターの園芸コーナーでも売っています。